不妊治療を行うにあたって大きな壁となるのが、経済的な問題です。
不妊治療は保険が適用されない治療内容が多いため、ステップアップの初期段階であるタイミング法でも月に2~5万円程度の支出があります。
もちろん人工受精、体外受精と治療が進んでいくと治療費は膨大になり、100万円以上不妊治療に費やす事例は珍しくありません。
実際に私も、毎月10万円単位でお金が飛んでいき、経済的にも精神的にも辛い思いをしました。
そこで、知ってほしいのが、不妊治療の助成金です。
今回は、不妊治療で経済的に苦しむ夫婦に知ってほしい、助成金の基本知識と受け取るために必要な手順についてQ&A形式で分かりやすくお伝えします。
目次
不妊治療の前に知っておきたい助成金の基礎知識
今から不妊治療を始める方は、
・不妊治療にはどのような種類があるのか
・どのような治療が助成の対象になるのか
についてあらかじめ調べておくと、不安を減らして治療に集中することができます。
これは私が実際に不妊治療と助成金の申請を体験して感じたことですが、不妊治療の種類を知っておくことは、助成金をもらうためだけではなく、自分に必要な治療を適切に行うためにも大切なんですよ。
知識がなかったために、私は無駄な不妊治療を半年の間も続けてしまいました。
不妊治療の助成金ってなに?
不妊治療の助成金とは、国や市区町村などの公的な機関が、不妊治療にかかった費用の一部を負担してくれるという取り組みです。
不妊治療にかかった全ての費用を負担してもらえるわけではありませんが、不妊治療は大きな単位で費用がかかるため、一部であっても家計の助けになります。
また、助成金がもらえると分かっていると、体外受精などの高額な治療へのハードルも少しは下がるため、治療の推進力にもなります。
実際に多額な治療費のために不妊治療を諦める夫婦も多いので、助成金の存在を知ることがとても大切なのです。
不妊治療には種類があるの?どんな治療でも助成してもらえる?
不妊治療には、大きな分類があります。
また、助成金の対象となる治療については、細かくステージが分類されています。
助成金をしっかりもらうためにも、不妊治療の種類とステージについて理解することはとても大切です。
不妊治療の大きな分類
不妊治療は、大きく分けて次の2種類に分類されます。
・一般不妊治療
・特定不妊治療
一般不妊治療と特定不妊治療の違いは、一言でいえば、卵子と精子の受精を体内で行うか体外で行うかです。
一般不妊治療では受精は体内で行われ、含まれる治療としては、
・タイミング法
・排卵誘発法
・薬物療法
・人工受精
が挙げられます。
一方で、特定不妊治療では受精は体外で行われ、
・体外受精
・顕微受精
などが該当します。
日本全国どこにいても受けられる助成は、特定不妊治療に対してのみです。
つまり、一部の市区町村を除いては、人工受精は助成の対象とはならないのです。
特定不妊治療のステージとは?
助成の対象となる特定不妊治療ですが、特定不妊治療は国によって次のようにA~Hまでの8つのステージに分類されます。
- 新鮮胚移植を実施
- 凍結した胚の移植を実施(採卵~胚移植までの一連の治療を実施)
- 以前凍結した胚を用いて胚移植を実施
- 採卵したが体調不良などによって移植の目処が立たずに治療が終了(胚凍結を含む)
- 受精できなかった、または受精の異常によって治療を中止
- 採卵したけれど卵が得られなかった、または状態のいい卵を得られなかったため治療を中止
- 卵胞が発育しない、または排卵が終了したことで治療が中止
- 採卵の準備中に体調不良で治療が中止
このステージの分類は、助成金の金額と助成金を受け取れるかの有無に大きく関わるため、自分の状況がどこにあたるかを把握しておくことがとても重要です。
不妊治療の助成金は国と県と市、どこが出してくれるの?
不妊治療の助成金は以下の通り、助成する機関によって2種類存在します。
・国の特定不妊治療助成事業
・市区町村の不妊治療助成制度
この2つは内容が変わってくるため、注意が必要です。
国の特定不妊治療助成事業
国の厚生労働省では、不妊治療の負担を軽減するために「特定不妊治療助成事業」を設けています。
対象は、体外受精や顕微受精の特定不妊治療のみです。
国の事業ではありますが、申請や給付は都道府県が行うので、覚えておきましょう。
都道府県によっては、政令指定都市などの市が窓口になる場合もあるので、近くの保健福祉センターに問い合わせておくと、丁寧に教えてくれますよ。
運がいいともらえる!?市区町村独自の不妊治療助成制度
地域によっては、国とは別に積極的に不妊治療をバックアップしてくれる市区町村が存在します。
市区町村独自の不妊治療助成制度は、地域によって内容がバラバラなので、直接保健福祉センターに相談するか、ネットなどで調べるようにしましょう。
独自の制度を設けている多くの市区町村は、国の助成金をさらに補填する形をとっている地域が多いですが、中には助成金の支給条件が寛容で、一般不妊治療まで助成してくれる地域もあります。
不妊治療を始める前は、経済的な負担を減らすためにも、住んでいる地域に独自の支援制度がないか確認しておくことをおすすめします。
ちなみに、私が以前住んでいた静岡県のある市では、1年以上住んでいる夫婦は男性不妊も含めて一般不妊治療の半額を助成してくれました。
当時収入が少なく、経済的に余裕がなかった私たち夫婦でも不妊治療に取り組めたのは、この市の独自の不妊治療助成制度があったからです。
助成金を受けとるための条件
不妊治療を行っていれば、誰でも助成金を受け取れるわけではありません。
国の特定不妊治療助成金を受け取るには、いくつか条件を満たす必要があります。
次の5つの項目において条件を全て満たすことが受給資格となります。
- 治療を受ける病院
- 年齢
- 所得
- 婚姻関係
- 医師による診断
助成の条件1 どこで治療を受ければ助成金はもらえるの?
助成金を受け取るためには、指定された医療機関において治療を受けることが条件となります。
指定医療機関は、各保健福祉センターに直接問い合わせるか、保健センターのホームページ上に掲載されています。
助成の条件2 年齢制限はあるの?
国の助成制度には、年齢制限が設けられています。
助成制度は夫婦単位で適用され、夫については年齢制限はありません。
妻については、治療を開始した日に43歳未満であることが必要です。
つまり、妻の年齢が43歳以上の方は助成金を受け取ることができません。
助成の条件3 所得条件はあるの?共働きでももらえる?
助成金を受け取るためには、所得条件をクリアすることも必要です。
助成金が受け取れるのは、妻と夫の所得の合計が730万円未満の夫婦のみです。
所得条件は、共働きか否かは関係なく、夫婦の所得を合算した金額で審査されます。
所得額については、
・1月~5月が申請日の場合は、前々年の所得額
・それ以外の申請日の場合は、前年の所得額
が審査の対象となります。
助成の条件4 結婚してなきゃもらえないの?
助成を受けるためには、婚姻関係を証明する必要があります。
治療を開始したときに、法律上の夫婦になっていることが条件となっています。
そのため、事実婚は対象とならず、申請日に婚姻関係であっても治療を開始した日に婚姻の事実がなければ、助成を受けることはできません。
助成の条件5 医師の診断は必要なの?
後述しますが、助成金の申請には、医師の診断書が必要になります。
それは、助成の対象になるためには、特定不妊治療以外の治療では妊娠の可能性が極めて低いか妊娠の可能性がないことを医師に診断される必要があるためです。
つまり、タイミング法や人工受精だけでも妊娠の可能性が十分に高いのに、本人の希望で体外受精や顕微受精にステップアップした場合は、助成の対象にはならないのです。
不妊治療に対する助成の内容
国の特定不妊治療助成事業では、具体的にどのような助成がどれくらい、どのような治療に対して受けることができるのでしょうか?
助成金はいつもらえるの?
助成金は、体外受精および顕微受精の治療1回ごとの申請です。
そのため、助成金の受け取りも治療1回ごとになります。
採卵(凍結胚の場合は胚移植)から妊娠判定されるまでの一連の治療を治療1回と数えます。
体調不良などで医師の判断によってやむを得ず治療を中止した場合は、中止したときが治療の終了日になります。
治療が終了して助成金の申請を行うと、2ヶ月程度で結果通知書が届きます。
この結果通知書で助成金を受け取ることができるかどうか、助成金はいくらもらえるのかが確認できます。
そして、通知書が届いてから1ヶ月程度で指定した口座に助成金が振り込まれます。
申請してから助成金を受け取るまでの期間は市区町村や申請の多さによって変わってくるので、目安程度に考えてください。
不妊治療の助成金はいくらもらえるの?
具体的な助成金の金額は、特定不妊治療のステージによって変わってきます。
ステージと金額を次の表にまとめました。
ステージ | 治療の内容 | 助成金額(上限) |
A | 新鮮胚移植を実施 | 15万円 |
B
|
凍結した胚の移植を実施(採卵~胚移植までの一連の治療を実施) |
15万円 |
C | 以前凍結した胚を用いて胚移植を実施 | 7万5千円 |
D
|
採卵したが体調不良などによって移植の目処が立たずに治療が終了(胚凍結を含む) |
15万円 |
E
|
受精できなかった、または受精の異常によって治療を中止 | 15万円 |
F | 採卵したけれど卵が得られなかった、または状態のいい卵を得られなかったため治療を中止 |
7万5千円 |
G | 卵胞が発育しない、または排卵が終了したことで治療が中止 |
助成なし |
H | 採卵の準備中に体調不良で治療が中止 | 助成なし |
注意してほしいのが、ステージCとFにおいては、助成金の上限が15万円の半額に減額されるということです。
採卵のみの場合の助成金は?
採卵のみを目的としての治療は助成の対象となりません。
あくまでも助成が適用されるのは、体外受精または顕微受精の治療の一環としての採卵になります。
治療目的で採卵を行い、その後体調不良や卵・精子の問題などで受精または胚移植できない場合は、ステージD、E、Fとして助成の対象になります。
ホルモン検査の助成金は?
ホルモン検査についても同様です。
ホルモンの検査のみを目的とした治療は助成の対象にはなりません。
体外受精や顕微受精では、採卵などのために排卵誘発剤を使用したり、黄体期補充療法を行ったりするために、ホルモンの測定は不可欠です。
これら特定不妊治療としてのホルモン検査は助成の対象に入ります。
男性の不妊(男性が原因の場合)も助成金はもらえるの?
女性不妊だけではなく、男性不妊においても助成金はもらえます。
ただし、男性不妊への助成についても、特定不妊治療の中での治療に助成が適用されます。
助成金の対象となる男性不妊の治療は、
・精巣精子採取術(TESE)
・精巣上体内精子吸引採取術(MESA)
・精巣内精子吸引採取術(TESA)
・経皮的精巣上体内精子吸引採取術(PESA)
など、精子を精巣から採取するための手術が当てはまります。
助成金額は、1回あたり15万円の上限になります。
男性不妊のみの治療は、助成の対象とならないので注意してください。
初回の治療はさらに助成金が増額される?
特定不妊治療事業の助成金は、初回の治療に限り増額してもらうことができます。
初回治療の増額分と内容については、以下の通りです。
・初回に限り上限が30万円までの助成になる
・助成対象となるのはステージA、B、D、Eの治療
ステージCとFに関しては、初回の増額の対象にはならないので気をつけてくださいね。
助成金は何回もらえるの(助成金を受けられる回数)?
助成金がもらえる回数は、治療を開始したときの妻の年齢によって変わってきます。
妻の年齢が40歳以上43歳未満の場合は、通算3回まで助成が受けられます。
一方で、妻の年齢が40歳未満の場合は、通算6回まで助成を受けることができます。
助成金を受け取るために必要な申請の流れ
助成金を受け取るためには、申請をしなければなりません。
正しい申請をするためには、大まかな申請の流れを理解して、申請するタイミングや申請する場所を間違えないことが大切です。
特に申請するタイミングを間違えると、助成が受けられない場合もあるので気をつけてくださいね。
助成金申請の大きな流れ
助成金申請の大きな流れとしては、まずは保健福祉センターの窓口に行き、
- 申請書
- 特定不妊治療受診等証明書
など記入が必要な書類を入手します。
書類については、住んでいる都道府県によって多少変わってくるので、ホームページなどからダウンロードするよりも、直接窓口に行って説明を受ける方が確実なのでおすすめします。
受診等証明書については、主治医に記載してもらう必要があります。
病院によっては証明書の記載に時間を要するところもあるため、時間に余裕を持ってお願いしましょう。
そのほか、必要な書類や印鑑、助成金を受け取る口座の通帳などを準備して申請窓口に持っていきます。
都道府県によっては、郵送での受付になるところもあります。
助成金はいつ申請すればいいの?
助成金の申請でややこしいのが、申請のタイミングです。
特定不妊治療助成事業では、「年」ごとの区切りではなく「年度」ごとの区切りなので注意してください。
助成金の申請は、治療が終了した日の年度内に行います。
年度とは4月~翌年の3月までを指します。
つまり、年度内の3月末日が申請期限となります。
ただし、申請期限が迫った1月~3月に関しては、申請期限の特例を設けている都道府県がほとんどです。
3月に治療が終了した分に限って4月の末日まで申請を認めるケースもあれば、1月~3月の申請に限って治療終了日から90日以内の申請を認めるケースもあります。
都道府県ごとに特例措置が異なるため、1~3月に治療が終了しそうな場合は確認しておきましょう。
助成金はどこで申請すればいいの?
助成金の申請は、住んでいる都道府県で行います。
そのため、引越した場合は引越先の申請窓口において申請します。
助成金申請のために必要な書類
助成金をもらうためには、申請に必要な書類を全て抜けることなく揃えなければなりません。
申請に必要な書類は都道府県でおおかた共通していますが、地域によっては多少変わってくるので、申請する前に可能な限り申請窓口まで直接相談にいきましょう。
助成金申請のために揃えなければならない書類
助成金申請のために揃えなければならない書類は、以下の通りです。
- 特定不妊治療助成申請書
- 特定不妊治療受診等証明書
- 夫婦の住民票(3ヶ月以内のもの)
- 夫婦の所得を証明する書類
- 夫婦の戸籍謄本(3ヶ月以内のもの)
- 領収書の原本
書類以外にも、直接申請窓口に行く場合は、助成金を振り込んでもらう口座の通帳と印鑑を持って行っておくと二度手間にならずに済みますよ。
市役所で発行してもらう書類や病院で書いてもらう診断書が申請期限までに間に合いそうにない場合は、早めに申請窓口に相談するようにしてください。
相談しておくと、「仮受付」という形で受け付けてもらえる場合があります。
所得証明はどうすればいいの?
所得を証明するためには、以下の二つのうちどちらかを提出しなければなりません。
- 所得証明書(住民税課税証明書)(収入がある人が対象)
- 非課税証明書 (収入が無い人が対象)
源泉徴収票では、所得証明ができないので気をつけてくださいね。
ここで注意してほしいのが、専業主婦などで働いていなくても、所得が0円であることを証明しなくてはならないということです。
この場合は、非課税証明書を提出すれば大丈夫です。
所得証明書や非課税証明書は、必要とする年度の1月1日に住所をおいていた市区町村で発行してもらいます。
1月1日を挟んで引越しをし、引越し先で申請を行う場合は転居前の市区町村から所得証明書などを取り寄せないといけないため、注意してください。
不妊治療の領収書を無くした!助成金はもらえるの?
不妊治療の助成を受けるために絶対に必要なのが、領収書です。
医療機関の領収書はほとんどの病院で再発行してくれません。
不妊治療を始めたら、まずは何があっても領収書の保管だけは忘れないようにしてください。
しかし、領収書を数枚無くしてしまったというときもあると思います。
その場合でも、助成金はもらえるので安心してください。
ただし、領収書がない分に関しては助成してもらえないため、領収書を無くしてしまったがために、助成の上限に達しない場合は、少し損をしてしまいます。
また、申請書類である受診等証明書の領収金額と一致するか確認されるため、領収書をなくした場合は、医療機関に相談するようにしましょう。
助成金は確定申告が必要?医療費控除との関係は?
不妊治療を行っていると、助成金を受け取っても多額の医療費の支出が見込まれます。
その場合は、確定申告をして医療費控除を受けると、所得に応じて税金が還付されます。
不妊症の治療費は、医療費控除の対象として認められているんですよ。
ただし、助成金を受け取った場合は、かかった治療費から助成された金額を差し引いた額で確定申告を行います。
最後に
不妊治療の助成の申請は、揃える書類が多い上に、治療ステージや申請のタイミングが分かりづらいのが難点です。
私がおすすめするのは、不妊治療を始めた時点で保健福祉センターの窓口で相談することです。
窓口の担当の方はとても親切に教えてくれる上、書類のチェックシートなどもくれたりするので、申請の手助けになります。
さらに、市区町村ごとに独自の不妊治療助成があるため、保健センターで聞いておくともらえるお金を取りこぼすことがありません。
助成の申請に自信がないという方は、ぜひ一度窓口まで足を運んでみてくださいね。
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参考